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歌わないことは本当に自由なのか
2006/09/23(Sat)
 不思議な地裁判決が出た。
 「君が代」を斉唱しなかった都の教職員に対して為された懲戒処分は、「思想良心の自由」を侵害するから違憲、というもの。「あれ?」と思った人は、私の他にもいるのではないかしら?


◆ そもそも、「日の丸」と「君が代」を“悪”であると思うことは自由なのか。

 これは完全に自由。なぜなら、「思う」ことというのは内面にとどまった行為であって、そのことを理由に誰かに迷惑をかけたりはしないから。
 例えば・・・私は今、あることを考えています。さぁて、何を考えているでしょう。・・・と、そんなことを問いかけても、答えを言い当てられる人はいないはず。今の私が考えていることなんて、誰にもわからない。誰にもわからない所で何かを考えていたって、そんなことが誰かの迷惑になるはずがない。
 だから自由。
 「日の丸」は悪いもの、「君が代」は悪いもの、と思うことはその人の自由。「日の丸」も「君が代」も好きですよ、と思うこともその人の自由。これが「思想良心の自由」というもの。


◆ では、「日の丸」を掲げず「君が代」を歌わないことは自由なのか。

 これは難しい。けれども、これも自由。
 言いたいことも言えず、したいこともできず、言いたくないことを言わされ、やりたくないことをやらされる。こんな社会は民主的ではないよね。
 みんながみんな、「右向け右」のイエスマンだったら、なんて退屈で窮屈!
 私たちに「思想良心の自由」があるのであれば、思っていることを言うも自由、行動するも自由、逆にしないも自由でないとダメ。これが「表現の自由」。
 だから、「日の丸」は悪いもの、「君が代」は悪いものと思っている人が、「日の丸」を掲げず「君が代」を斉唱しないのは自由のはず。
 でもちょっと待った。「表現の自由」って無制限に認めていいものだっけ?
 禁煙席で煙草を吸うのは自由ですか?
 真夜中に大音量で音楽を聴くのは自由ですか?
 お店で、お金も払わずに商品を持って帰ってしまうのは自由ですか?
 禁煙席で煙草を吸ったら、煙草の煙が苦手で禁煙席に座っている人に迷惑がかかるでしょ。真夜中に大音量で音楽を聴いたら、眠っている人に迷惑がかかるでしょ。お金も払わずに商品を持って帰ってしまったら、お店の人に迷惑がかかるでしょ。
 「思想良心の自由」と違って、「表現の自由」は外に現れるものだから、誰かに迷惑をかけることもある。迷惑をかけないように、我慢しなければならないときもある。わがままは「自由」ではない。「表現の自由は」、そういった制約の中で初めて、「自由」として花開くもの。
 問題なのは、「日の丸」を掲げず「君が代」を歌わないことで、誰かに迷惑をかけるのかどうか。
 一般社会であれば迷惑なんぞかけないのだろうが、それが「学校」という教育の場であったら、少し事情が違うはず。「学校」とりわけ「小学校」「中学校」という場所が、成熟した「おとな」ではなく発展途上の「未来の可能性」を相手にする場所であればこそ、事情が異なってくるはず。
 学校は「勉強」だけを教える場所ではないよね。いずれ社会の中に溶け込むために、大きな社会の「規律」を学ぶ場でもあるはずだよね。そして「学校」もまた小さな「社会」であるから、その小さな「社会」の一員である人は誰でも、その「規律」を乱してはいけないはずだよね。
 授業に遅刻した生徒は叱られるよね。だって、みんなが授業に遅刻したら、「授業」が成り立たなくなってしまうものね。だから、授業に遅刻しないことが「学校」の「ルール」なのだよね。
 みんながみんな「君が代」を歌わなかったら、卒業式も入学式も「式」として成り立たなくなってしまうよね。「君が代」を歌うことがその学校の「きまり」だったらなおさらだよね。
 「君が代」を歌おうとする人も、歌いたくない人もいることは否定できない。けれども、生徒に範を示すべき「おとな」が、だからといってワガママを言っていいものかどうか・・・。
 「君が代」の“意味”をここで云々する気はないけれども、仮に「君が代」にそれだけの重い“意味”があったとしても、「君が代」を歌わない「おとな」を見て生徒はどう思うのだろう。
「あ、先生も真面目にやってないや。だから自分じゃサボってもいいわけよね」
 なぁんて安直に考える生徒もいるんじゃないかな。「おとな」たちは、歌わない意味を真摯に生徒に説明できるとは思えない。たくさんの「おとな」が寄り集まっても解決できない問題を、諭したところでそれは単なる「思想の押しつけ」でしかない。
 「日の丸」を掲げず「君が代」を歌わないことは自由。どうぞご勝手に。けれども、苟も教師という立場であるならば、自らの信念以前にもっと大事な役目を背負っていることを、意識するべきではないのかな。


◆ 最後に、「日の丸」を掲げず「君が代」を歌わなかった都の教職員は懲罰の対象なのか。

 これも難しい。けれども、私は「対象になる」と思う。
 その心は、「公」務員は、良くも悪くも「行政」の担い手であるということ。「行政」の顔であるということ。「行政」であるから、法に縛られるものだということ。「行政」であればこそ、そこには統一性が求められるということ。
 警察官には労働権が一切認められていない。憲法が保障しているにもかかわらず、労働三権がない。なぜなら、警察官がストを起こしたら、その間に起こった犯罪を誰も阻止せず、社会が乱れてしまうから。だから、「警察官に労働権がないのは憲法違反だ!」と叫んでも、認めてはもらえない。労働権を回復したかったら、一般企業に勤めるしか他に道はない。
 前に述べたとおり、教師の勝手は「学校」の規律を乱すことに繋がる。それを都が抑止するために「通達」で強制したら、「公立」の教師には従う義務が出てきてしまうのは仕方のないことではないのかな。
 私なんかが思うのは、それは「学校」の中だけでの決まりなのだし、学校の中でだけ我慢していればいいじゃないの、と感じるのだけどね。それがどうしても嫌なら、「公」の立場を離れて「私」学の教員にでもなった方がいいのではないかしら?
 もっとも、歌わなかったからと言って「停職」という処分はいくらなんでも重すぎないかなぁ、と感じるのもまた事実。


◆ とまあ、長々と書いてきたけれども・・・・

 そもそも論で「日の丸」と「君が代」を見て、私は「イコール戦争」とは思わない。それは、私が単に戦後生まれで戦争を知らず、平和を享受している世代だからなのだろうか。
 ちなみに、「日の丸」の起源は、古くは鎌倉時代に見え、江戸末期になって幕府が本格的に使い始めたものらしい。明治政府が最初に使ったわけではない、というあたりがミソ。
 「君が代」に至っては『古今和歌集』に納められている恋の歌。当時は「恋人」を表していた「君」だけど、問題になっている時代では「天皇」のことだったかもしれないが、祝いの席では「新郎新婦」のことだったりもしたようだ。それだけ愛されて詠まれてきたものだったということか。
 だから、思うんだ。
 だってそれ以前から日の丸が日本の旗だったのだもの。戦争中だって掲げたに決まっているでしょう。
 だってそれ以前から愛されてきた歌なのだもの。戦争中だって歌われたに決まっているでしょう。
 ひとつの断片だけを捉えて、「全体が黒い」というの、おかしいよね。人が、もっと高い所から広くを見渡せる心を持っていたら、こんな狭くるしいところで、こんな小さなことで目くじらたてないと思うのだよね。
 私はオリンピックで「日の丸」が掲揚されたら嬉しいし、「君が代」が流れたら誇らしいと思う。けれども、「勝訴!」の旗を掲揚した人たちはどうなのかな。もしかしたら、喜ばないのかな。そもそも、オリンピックなんて「偏狭なナショナリズムの・・・」なんて思ってらっしゃるのか。
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コメント
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かくらさん、はじめまして、skenziです。
僕のブログにも訪問頂いてありがとうございます。

かくらさんも言われてますが教員の公の立場の問題、僕もその点においては色々考えるとこがありまして。今後、ブログで話せればと思っているのでまたお暇な時に遊びにきて下さい!
2006/09/24 02:31  | URL | skenzi #-[ 編集] ▲ top
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はじめまして、今回の件について
大変びっくりしました。控訴審がどうなるか期待大です。
2006/09/24 06:25  | URL | やまなち #-[ 編集] ▲ top
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かくらさん始めまして私はブログを始めて日が浅いので勉強中ですが、かくらさんの記事に共鳴します。知らない人からのブログ訪問初めてですありがとうございます。ブログを始めてよかったなと思いました。これからもよろしく
2006/09/24 09:38  | URL | t.fujita #-[ 編集] ▲ top
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かくらさん、私のブログにもご意見頂いてありがとうございました。今日は日曜日だし、朝の各局のニュース番組なんかでも、あの判決は取り上げられていましたね。やっぱり、判決内容に対する疑問の声が大きかったように思いました。
この問題、単に原告vs被告だけの問題じゃないから、もっと幅広く関心を持って議論をしていくことが必要なんじゃないかな…と思います。
2006/09/24 10:03  | URL | りっき #-[ 編集] ▲ top
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ご来訪、ありがとうございます。
一言だけ、言わせてください。
教職は「行政職」では、ありませんので。
私学の教員もいますから。
別の意味での「公職」ではありますけど。
2006/09/24 10:07  | URL | 伊知郎 #-[ 編集] ▲ top
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初めまして<(_ _)>
今回の、都の教職員による国旗、国歌懲罰訴訟判決問題に際して、わたしも思ってることを、凄く判りやすく論じてらっしゃるので感動して拝見しました!
2006/09/24 11:52  | URL | マコ #-[ 編集] ▲ top
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中高年ライダーです!
かぐらちゃん毎度ど〜もです!
コメントありがとね!
今度!相好リンクしませんか?
コメント返事待ってるよ〜!所で
最近は学校の先生の立場が弱いね!
生徒にいじめられる世の中で!
先生の少しながらのクーデター?
よろしくね!おじゃましました!
2006/09/24 14:56  | URL | kt1412com #-[ 編集] ▲ top
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控訴審の行方を見守りましょう。どう転んでも、いずれ結論がでるもんです。


> 伊知郎さんへ

 失礼致しました。自分は今回の問題が「公立」の先生のことだったので、「公務員」と書いてしまいました。
 もちろん私学の先生もいますので、記述を訂正させて頂きます。
2006/09/24 18:28  | URL | かくら #51JBegfs[ 編集] ▲ top
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ttp://knakayam.exblog.jp/
このような考えの方もいらっしゃるということを
見逃してはならないのではないでしょうか。
このような方々に対して、
「君が代を斉唱しなければ懲戒処分にする。
 嫌ならば教職に就かなければよいだけ」
というのは少々乱暴に過ぎると思います。
2006/09/25 16:35  | URL | ?? #-[ 編集] ▲ top
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かくらさん、初めまして。
この裁判は最終的には地裁の判決がくつがえり、敗訴で終わることでしょう。
しかし彼らは初めから地裁に全てを賭けていたと考えます。
法(国旗国歌法)が法により曖昧な存在だと証明されたわけで、国旗国歌法自体の見直し、改正を求めている側に1つの正当性を与えたのですから。

>匿名さん
そのような方々は残念ながら教職に就くべきではないと思います。
大東亜戦争を肯定されている同世代の方(戦争体験者)もいます。
両者の体験を平等に教える環境があるなら別ですがそうでなければ偏った教育となってしまいます。
少なくとも義務教育の段階で生徒達に偏った思想を持って欲しくないと考えています。
2006/09/25 21:50  | URL | boris kid #mQop/nM.[ 編集] ▲ top
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はじめまして。なんだかご訪問いただいたようで。他人のブログに書き込むのは初めてですが・・・一言。

今回は地裁判決なわけで、高裁・最高裁もありますので取り立てて騒ぐほどでもないかと。いままでは原告が敗訴続きだったから「大ニュース」的な扱いだったこともあると思いますね。
あと、論旨をよく読めば、全面勝訴とも言いがたいでしょう。「国旗・国歌に敬意を払わなくてよい」「国旗・国歌は戦争に関係している」とは書いてありませんから。

>匿名さん
>「君が代を斉唱しなければ懲戒処分にする。
> 嫌ならば教職に就かなければよいだけ」
>というのは少々乱暴に過ぎると思います。
どこが乱暴なのでしょうか? こういう方々には逆に教職についていただきたくないですね。
思想は置いておくとしても、歌わないも置いておくにしても、儀式で起立するマナーも守れないような人には教えてもらいたくないと思いますね。
歌う・起立する程度で侵される思想とやらが、そんなに大事なのでしょうかね?
2006/09/26 21:36  | URL | インチキ記者 #-[ 編集] ▲ top
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> 匿名さん

まあ意見は人それぞれですので否定も肯定もしませんが、せめてコメントを書いてくださるのであれば、名乗って頂けると大変ありがたいです。
2006/09/26 22:16  | URL | かくら #51JBegfs[ 編集] ▲ top
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